モルモットの繁殖関係のトラブルで多いのは妊娠中毒です。妊娠中毒は産褥期疾患とも呼ばれ、特に他の動物より難産が多いと言われるモルモットでは、出産・分娩前後(最も多発するのは妊娠後期)に起こる病気として代表的なものです。
妊娠中毒の症状
妊娠中毒は緊急疾患です。最初は比較的軽い症状(飲食不振)しか見えません。その後1日程度で呼吸の異常があり呼吸困難(よだれが出る)や痙攣なども見られるようになり、食欲は全くみられなくなります。
また、横になって動けなくなります。一般的な症状の進行を確認してからでは、すでに手遅れな状態となり、そのままでは2~3日で死亡することが多いようです。
考えられる原因
妊娠中毒は肥満状態のモルモットで妊娠後期から分娩後1週間以内でよく発症します。
この条件で動かない等の症状が出た場合には、様子を見ながらでは手遅れになりますので早急に獣医の診断をうけるようにおすすめします。
モルモットの妊娠中毒の原因は、高度の急性脂肪肝です。モルモットの出産では、お産に備えた変化(母親の体内で急激な栄養補給の変化)が発生します。
そのため普通の餌などから得ていたエネルギー代謝プロセスが、体脂肪などの直接分解プロセスに切り替わってしまいます。人間でも同様ですが、脂肪は直接エネルギーに分解することはできませんので、一度肝臓などでブドウ糖に分解されます。
人間ならそれで問題はありませんが、草食動物であるモルモットは、このような脂肪分解プロセスを血液中でコントロールするしくみが発達していませんので、大量の脂肪を急激に肝臓に送り込み処理させる結果となり脂肪肝を引き起こすのです。
このためモルモットの血液は脂肪で白濁したような状態になります。これはすでに代謝異常の状態ですから、何らかの理由(ストレスやホルモンバランス)などがあると元の状態に戻らない危険な状態となります。
出来る治療
一般的な妊娠中毒の治療は、まず早期発見ですぐに処置をしたいところです。
症例では呼吸困難,痙攣などが起きてから2日程度で獣医師に相談し、妊娠中毒と診断された場合があります。処置は入院し点滴治療を行った例があります。
その予防法
予防方法もあまり効果的なものがありませんが、妊娠期間中はストレスを避けるなど細心の注意をこころがけましょう。
モルモットの場合肥満(900g以上の肥満モルモット)で、多くみられるため、日頃から体重管理に注意したいものです。また季節的には冬季に発生が多くなりますので、冬季の出産を避けるような注意も必要です。
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