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モルモット飼育法‐初心者

モルモットの生殖器疾患は、他の膀胱炎や結石と似た症状のために、発見に時間がかかる場合が多いようです。

血尿のような出血があったり、食欲不振、悪臭尿などもあって飼い主が専門医を訪れる場合が多いのですが、エコー等で検査しても、原因が特定できず、消去法的な診断で生殖器の疾患がわかる場合もあります。

一般に、モルモットは妊娠、出産に伴うトラブルの発生も多く、栄養不良やストレスが引き金となって生殖器の異常を発症する場合があります。

症例では4歳のモルモットが泌尿器関連の症状を呈し、獣医師が検査を行った結果、結石や尿路炎症関連が特定できず、生殖器の異常を疑うことになった事例がありますが、生殖器疾患に対しては原因特定するプロセスが複雑で、適切な治療を行える専門家も少なく、治療の難しい場合の方が多いようです。

モルモットの雌は発情周期が15~17日とされ、これは多発情であると言えます。さらに一旦妊娠期間(59 ~ 72 日)に入りますと、かなり長期な部類に入ります。

モルモットの雌は発情期や妊娠期間以外は膣などを覆(おお)う膜が形成されるため、生殖器の保護にも有効と考えられますが、頻繁な発情や長期の妊娠期間があるため、生殖器の負担は大きいと考えられます

従って、モルモットに関する生殖器疾患は、妊娠関連の難産や妊娠中毒症が多いとの報告がなされ、さらに発情期にも多発すると考えられています。

しかし実際には繁殖障害にまで及ぶ重度な症例はあまりなく、卵巣嚢胞に由来する疾患の方が注目されているようです。

(1)卵巣嚢腫
卵巣嚢腫は、卵巣子宮の異常によるもので、性ホルモンの不均衡が主な原因とされています。症例では卵巣が大きく肥大し腹腔内までしこりなどの症状を呈します。

体の脇腹などに両側性対称性の脱毛がみられることもあり、多くは子宮内膜炎なども併発しています。腹部が腫瘤状を呈しますので触診やエコー検査で診断可能です。治療は卵巣摘出手術が普通です。

(2)妊娠中毒・ケトン症
妊娠中毒は妊娠後期に最も多く見られます。
ケトン症では急性症状で食欲不振、悪臭尿、呼吸困難、黄疸が見られ、発症後数日以内に急死する事が多いようです。

原因としては子宮胎盤の虚血や肥満(800g以上)が考えられ、餌のバランス、初期妊娠経験、遺伝なども関与していると言われています。

血液検査などでは、低血糖、高脂血症、ケトン血症、貧血、血小板減少症、高カリウム血症、低ナトリウム血症や低クロール血症、肝臓酵素上昇を呈し、尿検査では異常値(蛋白尿、酸性尿)がみられます。治療は困難な場合が多く、延命しても予後は芳しくなく、衰弱してしまう場合が多い病気です。

(3)異常分娩
モルモットの恥骨部はデリケートな軟骨によって構成されています。このため諸理由により恥骨結合部の異常や変形が起こりやすく、恥骨結合部が形成された7ヶ月齢以降に繁殖させた雌、肥満雌、陣痛微弱、過大胎仔、胎位異常などの誘因から発症するものです。

症例では元気消失、緑色や血性の分泌物が観察されるほか産道から胎児が部分的に脱落したりします。治療は帝王切開が普通です。しかし陣痛が少ない場合は、様子を見ながらオキシトシンの投与も行われます。

(4)子宮蓄膿症
モルモットの生殖器疾患でも比較的若い個体(1才半)程度から見られる病気です。食欲が顕著に減退することは少なく、症例では排尿時に痛くて鳴く、陰部出血の他に血尿などもみられ、これは膀胱炎なども併発するためと考えられます。

子宮内に膿が溜まるので、動作が緩慢になったり、下半身を緩やかに痙攣させたりします。モルモットは尿道の管と子宮管が出口で一本に癒合しているため、泌尿器の血尿などと生殖器の膿や出血は判別しにくいようです。

初期の診断では膀胱炎の可能性も考慮し抗生物質・止血剤・整腸剤・消炎剤などを処方しますが、出血が継続する場合には、子宮の慢性炎症(子宮蓄膿症)と判断し、膿の抜き取りなどの処置を必要とします。

さらに出血量が多く貧血による衰弱や二次感染が心配されるために、子宮摘出手術などを行います。


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